■中日新聞|2016年1月20日(水)掲載
スマホアプリで発見率アップ 行方不明の高齢者
スマートフォンのアプリを使い、行方不明となった認知症高齢者を捜索するシステムの社会実験が、草津市内であった。 アプリを使用する組と使用しない組を比較すると発見率で使用組が大きく上回った。
担当者は「今後は地域みんなで不明者を見つける仕組みをつくっていけたら」と手応えを感じている。(鈴木啓紀) アプリを開発したのは栗東市のIT関連会社「ナスカ」。実験では草津市中心部で男女の高齢者が徘徊し、行方不明になったと想定。市も協力した。
システムの仕組みは、行方不明となった高齢者の親族らがアプリなどを使い捜索の以来を出すと、
アプリをダウンロードしている地域住民に通知が届く。小型発信機を付けた徘徊者が住民から
半径45メートル以内に近づくとアプリが自動感知し、高齢者がいた場所や時間を記録し、捜索関係者に知らせる。
捜査者は、その位置情報を元に場所を絞って捜索できる利点がある。
実験はアプリの情報を電話で伝える組と、情報を伝えずにやみくもに探してもらう組みの各4組8人ずつで構成。 制限時間1時間の中で、情報なしのチームは2組が徘徊者役の1人を見つけたのにとどまったが、 情報ありのチームは全4組が男女両方を発見できた。
実験後の講評で情報なく捜索した男性は、「今回はエリアが限定されていたが、実際はそうはいかない。情報がないと、心が折れそうになった」と話した。
情報を伝えられて探した別の男性は「チャット機能やLINE(ライン)などで情報を伝達できたいらいい」と改善点も指摘した。
実験は東近江市に続き2回目で、栗東、守山両市でも計画している。 ナスカ社の担当者は「子どもにも使えるシステム。子育て世代にも周知していきた」と話している。